身に覚えのない噂をやりすごすベストの方法とは

川上教授は「自分の身に覚えのない、たわいもない噂でしたら、『人の噂も75日』ではありませんが、そのまま黙ってやりすごすことも手でしょう」という。ナンバーワンホステスで、根も葉もない噂をいくつも流されてきた塚越さんは、そうした川上教授のオススメの方法を実践してきた1人でもある。「ポイントは自分のセルフモニタリングの機能をわざと低くすることです」と塚越さんは話す。

成城大学文芸学部教授 
川上善郎氏

セルフモニタリングとは、自分の行動や感情を自分自身で客観的に評価して調整しようとする機能のこと。セルフモニタリングを高めると、周囲の人の目が気になり、それに自分の行動を合わせようとして神経過敏になってしまう。身に覚えのない噂にいちいち反論していると、心身ともに疲れ切って、仕事をやめざるをえなくなるかもしれない。そうなったら噂を流している相手の思う壺だ。

そこで自分が何か行動を起こす際に、「人の目を気にしてなのか」、それとも「自分の本心からなのか」をチェックし、前者の割合を減らしていく。すると周りの視線や雑音が気にならなくなっていく。

「そうでもしないと、銀座のホステスは務まりません。なにしろホステスが2人顔を合わせれば、口をついて出てくるのは人の悪口やヤバイ噂ばかりなのですから」と塚越さんは笑いながら話す。

しかし、まったく身に覚えがない不倫、セクシャルハラスメント、金銭トラブル、不正行為などで故意に自分を貶めるような噂を流された場合は話が別。

前出の江良社長は「そうした噂が社内に広まっていることを掴んだ段階で、会社サイドはその真偽の調査に必ず入ります。もし、事前に自分に関する放置できない噂が流れていることに気がついたら、信頼できる上司などにすぐ相談することが大切です。でないと、一方的な人事評価のダウンや左遷・降格などの“冤罪”をこうむることもあります」と警告する。