FFS理論は、米国の国防機関の依頼で、生産性を最大化する組織づくりのために研究し、提案しました。実際に世界の多くの企業や軍隊で、職務適職判定やチーム編成に応用されています。

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(A)凝縮性因子が高い人/(B)受容性因子が高い人

この理論は、人間の個性は単独または複数の構成因子が組み合わさってできているという考えに基づいています。どの因子が強いかによって、普段の傾向だけでなく、強いストレスにさらされたときに表れやすいマイナスの傾向がわかります。本来は80の設問によって408万4101通りのタイプに分類しますが、ここでは大幅に簡略化して絞り込み、特に職場で周りに影響を与えやすい4因子を選びました。

まず、「凝縮性」因子です。診断表でAが最も強く出た人は、自分の価値観を強く持った、思い入れの強い人です。父親や教師など、権威に関わる原体験が、人生に強い影響を与えています。自分の信念に基づいて一定の方向性を固く守ろうとする能力は、この因子に関係します。このため、通常は指導力が高く、道徳や規範を重視する行動が目立ちます。企業では、出世してリーダー的な存在になる人が多いでしょう。

Bの「受容性」因子が高く出た人は、周囲の状況を無条件に受け入れる人です。

「思いやりの人」ともいえます。周囲が幸せであれば、自分も幸せに思う傾向があり、愛情に関わる原体験、特に母親との関係に影響を受けています。他人を守り、育てようとする養育的な要素は、この因子に関係します。

養育的であるという特性は、普段は周りに寛容で、人や環境に対して肯定的な行動として表れます。部下の世話や育成に長けた人が多いでしょう。