スーパー、外食の農業参入:農家と企業のコラボレーション

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参集法人数の推移/業務形態別の参入法人数

企業が農業に参入しやすいように農地法が改正されたのは、2年半前の09年12月。それ以降、12年3月末までの約2年間で農業に参入した企業の数は、838社にも上る。それ以前の旧農地法時代は、6年半で参入企業数は436社だから、農地法改正を機に参入は大幅に急増したことになる。

「農地法改正の直後に注目されたのは、生産法人に対する出資規制が大幅に緩和されたことでした。しかし実際に農業の現場の方に聞くと、農地を借りるときのルールが大きく変わったことが、参入しやすくなった一番の理由のようです」

と、日本総研主任研究員の三輪泰史氏は語る。

それまでは一般農家が活用しないような荒れ地や10年以上も放置された農地を、市町村が取りまとめて、企業に貸し出すルールだった。それが農地法の改正で、農家と参入する企業が相対で交渉して賃貸契約できるようになった。農地を貸したい人が借りたい人と直接交渉して決まるので、農業への参入が進みやすい。

「最近は借りる側と貸す側のコラボレーションプロジェクトの動きがすごく出てきています。わかりやすいのは、農地を貸した人が指導員やアドバイザーとして生産法人に雇用されるケース。

以前は粗悪な条件の土地を借りて農業の素人がやるから、最初の4~5年はまともに栽培できないような事例が多かった。でも、現在はきちんとした農地が借りられて、しかもその土地のことをよく知っている人の指導を受けられるということで、事業を立ち上げた年から安定的な収益を生むことが可能になった。条件が大きく変わったんです」(三輪氏)