2013年5月17日(金)

2度の強制捜査で私を救った「狭き門からの明日」 -作家 江上 剛氏

「人生の最悪期」を支えてくれた金言

PRESIDENT 2011年12月5日号

著者
江上 剛 えがみ・ごう
作家

江上 剛1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。77年、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地各支店長を経て2003年退行。旧第一勧銀の総会屋事件を収拾し、映画『金融腐蝕列島 呪縛』のモデルとなる。02年に『非情銀行』で作家デビュー。著書に『聖書に学ぶビジネスの極意100』『合併人事』『奇跡のモノづくり』『帝都を復興せよ』など。

作家 江上 剛 構成=原 英次郎 撮影=上飯坂 真 写真=PANA

私の自宅の机の上には聖書が何冊か積んであります。

作家 江上 剛氏

私と聖書の出合いは高校生のときに遡ります。1970年頃、私は兵庫県丹波で育った田舎の高校生でした。人並みに「人生とは何ぞや、人とは何ぞや」と思い悩んでいたからでしょう、何気なく聖書を購入し、教会にも行ったことがありました。

私はキリスト教の信者ではありませんが、以来、聖書はずっと持っています。第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入ってからも、聖書、特に新約聖書は、いつも鞄の中に入れていました。通勤電車の中で読書をするとき、他の本に飽きると聖書を取り出してパラパラとめくるのです。

聖書はどのページをめくって、どこから読んでもいい。そうすると、いまの自分の状況をぴたりと言い当てている言葉に巡り合う。キリスト教とは何ぞやという学問的な難しいことを知らなくても、パッとめくったときの一言、あるいは一行が胸にグサッと突き刺さってきます。

それは何よりも言葉に力があるからでしょう。何か問題が起きて悩んでも、その一言で助けられ、支えられる。まさに「ワンフレーズ・ポリティクス」。非常に得難い「書物」だと思います。

私はこれまで、いろいろな事件に巻き込まれてきました。人生で2度も強制捜査を経験しましたが、逃げたことはないつもりです。おかげで少し逃げ遅れてしまったこともありますが……。

強制捜査の1つ目が97年に起こった第一勧業銀行の総会屋事件。第一勧銀が長年、大物総会屋に不正融資をしていたことが発覚したのです。当時、私は広報部の次長で、事件の真相を調査する社会責任推進室室長も務めました。

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