“リスク過多”は要注意
資産バランスは常に重要

世代間で見ると、インフレに最も弱いのは年金生活の高齢者です。

今年10月から、デフレ時代に本来、下がるはずだった公的年金の減額が始まります。減額されるのは3年間で計2・5%。そのうえに物価が上がれば、生活はいっそう厳しくなるはずです。また、物価上昇場面では、「マクロ経済スライド」により、公的年金の上昇率は物価上昇率より低く抑えられるしくみです。今まではどの世代よりも裕福だった高齢者層ですが、インフレ場面では収入減と物価上昇の両方に苦しめられることになるはず。年金生活の方は家計の引き締めが必須ですし、高齢といえども、ある程度は投資を視野に入れたほうがいいでしょう。

一方、現役世代にとっては、やっと報われるときが来そうです。インフレになれば、これまで上がらなかった給料もある程度は上昇が見込まれます。

ただし、物価上昇率ほど給料が上がるかどうかは疑問。また今後は、公的年金の受給開始年齢が現在の65歳からさらに引き上げられる可能性があります。このため、特に老後が視野に入った40代以上の方なら、年金生活の厳しさを想定して、投資による運用を始めておきたいところです。

リタイアまでの時間を生かして積み立て投資を始めたり、勤務先に確定拠出年金制度がある人なら、投資信託の比率を高めるのがお勧めです。また、来年1月からスタート予定のNISA(少額投資非課税制度。日本版ISA口座)の利用を検討してもいいでしょう。

重要なのは、“投資比率を高めすぎてはいけない”という点です。

特に、投資経験のある人は、現在のマーケットを見て強気になり、投資額を増やしてしまいがちです。でも、使う予定のあるお金などは安全運用を守るべき。資産バランスを常に念頭に置き、リスクをとれないお金については、安全性の高い金融商品を比較検討し、少しでも有利なものを探し出す知恵を身につけていただきたいと思います。

目先の利益だけを見ずに
長期的な視点で判断する

相続税がかかるような家庭なら、相続税対策も考えたほうがいいでしょう。

不動産を活用するのも、有効な相続税対策の一つです。相続税の計算では、金融資産だと時価がそのまま相続税評価額になりますが、不動産は時価より相続税評価額のほうが低くなります。さらに、賃貸住宅の建っている土地は評価額が減額されるしくみです。このため、不動産を上手に使えば相続税が安くなるという効果があります。

ただ、不動産を使った相続税対策では、相続が起きた後のキャッシュフローを十分に検討することが大切です。

これは資産運用全般にいえることですが、目先だけを見てはダメ。今はよくてもその後はどうなのか、という長期的な視点で判断すべきです。繰り返しになりますが、特に今のようにマーケットが好調なときは、何よりも“リスク過多”にならないよう注意していただきたいですね。

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