2013年5月16日(木)

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女性は、女性の視線を気にする

(左)薬粧品事業部 マーケティング部 外用剤グループ ブランド担当 柴田雄一郎/(右)国際営業部 事業企画グループ 江口弘美

傷や火傷を治すのではなく、傷あとや火傷あとを目立たなくする。このわずかな違いに着目したのが、小林製薬が発売したジェルタイプの傷あと改善外用薬「アットノン」だ。抗炎症作用や血行促進作用がある「ヘパリン類似物質」を使用。傷あとの奥にある皮膚組織の新陳代謝を促し、傷あと・火傷あとの赤みや盛り上がりを改善する。

発売は2011年3月。「医薬品は年間売り上げ10億円を超えればヒット」(同社)とされるが、12年2月末時点の出荷金額は約12億円。節電のために薄着で過ごす人が増えたことも追い風となった。

実は、このヒット商品は発案者である前担当者、江口弘美さんの思わぬアクシデントから生まれた。

「自転車に乗っていて、転んで両ひざをケガしたんです。擦りむいた程度だったので、すぐ治るだろうと放っておいた」

が、成人後は誰でも傷の回復力が衰える。江口さんの傷あとも、いくら経ってもなくならなかった。

「ほかはともかく脚だけは細いのが自慢だったのに、傷あとがついてしまった。『どうしてくれるねん!』という気持ちでした」

江口さんは笑いながら振り返る。

皮膚科で処方された薬は、市販品と成分が変わらなかった。傷あとのケアには決定打がない。ひょっとして、商品化できるのでは?――開発者魂が頭をもたげた。

「当社の商品開発はグループインタビューという手法を使いますが、誰をターゲットにすべきか考えました。傷あとが残りやすいとわかっている人は、できる前に何かしらケアをする。若い頃は治ったので、放っておいたら傷あとが残ってしまった人にニーズがあるのでは、とターゲット像を考えました」

同社が行った生活者調査では、20~50代女性の約3割が3年以内にできた傷あとがあった。そのほぼすべてが傷あとを治したいと思っていながら、6割以上が対処できていないことも判明した。

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