結婚式の披露宴で、いまどきこんな古典的なスピーチを行う来賓がいるかどうかは知らないが、かつて定番のごとく語られていたのが「3つの袋」を大切にしようというお話。夫婦はお互いに我慢しなければいけないことがあるという「堪忍袋」、しっかり働いて稼ごうの「給料袋」、親を大事にの「お袋」だ。ほかにも体調管理をしっかりしなさいという「胃袋」説などもある。

「良縁を結ぶ仕事は私の天職」と語るのは、東京・自由が丘で結婚相談所「ブライダルサロン自由が丘」を主宰する株式会社結婚しましょ!代表の丸山和子氏。18年間で500組以上の縁を結び、離婚はわずか2組だけとおっしゃる「仲人マダム」だ。丸山氏は「共に白髪まで夫婦生活を続けるコツ」を、3つの袋ではないが「竹の節」や「壁」になぞらえて結婚前のカップルに贈っている。

「節を乗り越えるごとに竹は大きく成長する。また自分の前に立ちはだかる壁は、いざ乗り越えてみると今度は自分の後ろ盾となって守ってくれる。夫婦生活にはトラブルが付きものだから、2人で力を合わせてやっていこうという初心を忘れないで、と話しています」

実は、結婚後時を経た夫婦こそ、もう一度、これらの金言を傾聴すべきなのだろう。“初心”も新婚時代には重宝されるが、数年経てば経年劣化を起こしてサビつきかねない。そして、夫婦喧嘩の絶えない日常となっていないだろうか。

「結婚前に『夫婦喧嘩をしたら、先に謝ったほうが勝ち』というルールを2人で作るようにアドバイスしています。ではなぜ喧嘩をするのか? 原因の多くは、自分の価値観に相手を合わせようとする。もっというと強要したがるからおこる。自分の思い通りにさせようとする心が、いつの間にか妻にも夫にも根付いていたのですね」