2013年5月10日(金)

スパゲティをゆでるときは塩なしでOKです

プレジデントFamily 2011年5月号

大塚常好=文 市来朋久=撮影 塩出尚子=撮影協力
先生:東京家政大学大学院家政学研究科教授 長尾慶子
――では、麺のコシを強くするにはどうすれば?

 

先生スパゲティのほどよい硬さは、タンパク質(グルテン)が加熱によって変性して固まることでつくられます。さらに麺の中のでんぷんが水を吸って糊化し、モチモチした食感ができる。これらの硬さとモチモチ感が合わさり、コシがつくられます。それにはゆで方が要点になります。

――ゆで方の注意点を教えてください。
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塩を使わない、おいしい麺のゆで方

 

先生コツは、ご存じのように表示された時間より少し早めに上げて「アルデンテ」にすることです。アルデンテとは中心にわずかに芯が残り、歯ごたえのある状態。かんだときに中心にいくほど硬さが増し、これがスパゲティ独特のコシになります。

――「わずかな芯」とは?

 

先生麺を1本とって折ったときに、まだ水分が届いていない「黄色い」芯の部分が絹糸大だとちょうどいい。木綿糸程度の太さではゆで時間が少し足りません。最適のゆで時間をわずか数10秒過ぎただけでも、中心まで完全に水分が染み込んでしまい、アルデンテではなくなってしまいます。

――塩よりゆで時間を気にすべきなんですね。

 

先生その通りです。あとは、ゆでるお湯の温度と量が大事です。お湯の温度が低いと麺の表面のでんぷんが溶け出し、ゆで湯にドロリと粘りが出てしまうのです。お湯の量が少ないとスパゲティを入れた瞬間、鍋の中の湯の温度が急激に下がり、同じことが起こります。結果、湯がうまく対流しなくなり、湯の温度が均一にならないので、ゆで具合にむらが出てしまいます。
 一方、ぐらぐらと沸騰したたっぷりのお湯なら、表面のでんぷんはすぐに糊化し、プリプリとした食感になるのです。

 

結論:麺のコシには、お湯の温度・量とゆで時間が関係しています

 

ゆで湯に塩を入れ、麺に塩味をつけておくことで、塩分があるソースとのなじみがよくなるという役割も塩にはあるらしい。ゆで湯に塩を入れるか入れないかは、味の好みで判断してよさそうだ。

 


先生:長尾慶子/東京家政大学大学院家政学研究科教授
東京家政大学大学院家政学研究科教授。専門は調理科学。最近はアレルギーを抑える調理法や、トマトやナスなどの食べ物で活性酸素から体を守る抗酸化レシピの開発の研究などをしている。

(肩書などは掲載当時)

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大塚 常好