中学、高校での取り組み

BBTは高等学校教育にもチャレンジしている。学校法人船橋学園東葉高等学校、その姉妹校である学校法人市川学園市川高等学校と連携して、遠隔教育システム「エアキャンパス」を使ったサイバー授業を展開している。

特に東葉高校では2007年から広域通信課程を開設、ネットをフル活用した遠隔教育を実施している。生徒は自宅のパソコンに「エアキャンパス」をダウンロードすれば、いつでも好きなときにオンデマンド方式の授業を受けられる。携帯端末での授業も可能で、その場合にはwebでアクセスできる。通常の授業だけでなく、「考える力」を身に付けさせるためにBBTが高校生向けに作成した総合学習の時間もあれば、千葉県有数の進学校である市川学園の教師による進学対策授業もある。親に対する教育のための専用コンテンツも配信している。

通信制だから通学の必要はない。だから不登校の子供でも勉強できるし、中学を卒業して働きながら高校教育を受けたいという人にも便利だ。地方在住だったり、親の仕事の関係で海外で暮らしていても、サイバー高校なら何の問題もなく“通える”。

ところが高等教育は大学以上に文科省の足枷がきつい。「千葉県外で募集をかけるな」というのだ。たとえば鹿児島で暮らしていても千葉の高校で学べて大学受験できるのがサイバー高校のメリットなのに、「どうしてもやりたいなら、県外から採った生徒は寄宿させろ」という指導である(現在は千葉、東京、埼玉、神奈川、栃木、茨城、群馬在住であれば出願可能)。文科省がサイバー教育の意味をわかるようになるのはしばらく先のことなのだろう。

結局、受け入れるのは関東一都六県の学生という中途半端なサイバー高校ながら、それでも東葉高校の広域通信課程の先進的取り組みが評価される日が遠からず来ることを期待したい。

また、現在進行形のプロジェクトもある。国際的な大学入学資格試験である「バカロレア」が取れる中高一貫校の設立である。

文科省はグローバル人材育成のために国際バカロレア機構(バカロレアを実施運営する組織。本部はスイス)の認定校を増やそうとしているが、我々はスイスにあるインターナショナルスクールと提携して、バカロレアが取れる中高一貫の日本校の設立を目指している。現状、日本ではバカロレア認定高もサイバー高校では認めてもらえない。来春4月からの生徒募集を目標に、今は学校を設置する物理的な場所を探しているところだ。

バカロレアを取り入れたいという高校は日本全国にある。まずは我々がプラットホームになる教育施設を作ってノウハウを蓄積し、先々はサイバーで全国にコンテンツを提供していく、というコンセプトでプロジェクトを進めている。

5~10年かかるかもしれないが、私としては入学1年目からオールイングリッシュで授業を受けられる学校にして、中学、高校から英語になじめる環境を作りたいと考えているところだ。

■BBT大学大学院
http://www.ohmae.ac.jp/
■BBT大学
http://bbt.ac/
■東葉高校広域通信課程
http://www.ohmae.ac.jp/highschool/toyo/

(次回は「人を創る仕事[6]——BBTを学校法人にしない理由」 5月13日[月]更新予定)

(小川 剛=インタビュー・構成)