中国では原子力発電所の建設が進んでいる。海陽原子力発電所の上ぶた設置が完了したところ。(AFLO=写真)

しかし、すでに中間貯蔵施設のキャパシティは満杯で、各原子炉サイト内で使用済み核燃料を大量に抱えているのが現状である。永久貯蔵施設に至っては予定地すら決まっていない。公社は日本原燃を吸収合併して使用済み核燃料処理の道筋をつけなければならない。

4番目は、原発を輸出産業として育てることだ。今や原子炉を完全につくれる会社は、世界に4社しかない。日本の日立、東芝、三菱とフランスのアレバ社である。中国だけで今後10年間で28の原発の新設が予定されている。インドやロシアなどを合わせると向こう20年で100基近くの原発の新規建設が見込まれる。1基最低5000億円として、100基で50兆円。その半分位は日本のメーカーが受注できるハズである。

この公社には、日本のメーカーの新型炉の開発と輸出をサポートする開発研究機能を持たせる。原発事故の経験や教訓を生かして、安全対策やオペレーションまでパッケージした原発技術は世界中が欲しがっている。これを前向きに世界に提供していくのだ。

以上のように発電の完全自由化、1社公営の高圧送電、9社の地域独占による配電、原発公営化という形で電気事業を4部門に再編すれば、潤沢で安定的な電力供給と低コスト化が実現できると私は考えている。福島第一原発事故の不幸からまだ立ち直っていないが、安倍政権は役所の縄張り争いに巻き込まれずに大局的な観点からここで述べたような大胆な改革をぜひ推し進めてもらいたい。

(小川 剛=構成 AFLO=写真)
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