素晴らしいことができる人、できない人

『第二の人生、勝負の時である。』[著]堀田 力(海竜社)/『逆境のリーダー・石橋信夫』[著]野口 均(ダイヤモンド社)

もう一冊、推薦させていただきたいのは『第二の人生、勝負の時である。』です。

「さわやか福祉財団」設立者の堀田力さんのご本ですが、堀田さんのいきいきとした経験が立ち上がってきます。共感を得る部分がすごく多い。

本書は、「肩書」という幻想について、鋭く考察しています。それがまさに私の考えと一致した。堀田さんは、東京地検特捜部検事、法務大臣官房長などの華麗な経歴や肩書を持っていたのに、スパッとそれらを捨てて今までの人生とは全く関係のないボランティアの道に入られました。

一代で会社を大きくした創業者の本は壮絶な内容も出てくるから、読後感はコクがあってずっしり重い。堀田さんの本はコクがあるのに、さわやかさに満ちています。

2つの本に共通しているのは私利私欲がないことでしょう。共感して、頷きながら読んだわけですが、私にこんなに立派なことができるかな、という気持ちにさせられます。

そう考えると、素晴らしいことができる人とできない人の境目は、結局は志の高さであるとわかります。ロマンと言い換えてもいい。明確な志があれば、行動も明確になってくる。

大和ハウス工業は営業力が強いというありがたい評価をいただいているようですが、それは各人の志が高いからだと思っています。

業績が停滞していたとき、「この不況だから、現状維持だけでも十分だ」といった空気が社内に蔓延していた。それを私は怒った。創業者の教えに従い「停滞は後退や!」と一喝しました。そんな意識改革の積み重ねがあって、今の大和ハウス工業があるのです。