では、以下に成功事例を見ていこう。

松井寿夫氏(仮名、43歳)は大手通販会社から30代半ばでメーカーへ転職し通販事業を担当した後、最近別の通販会社へ転職した人物である。

「最初の転職で年収は700万円から800万円に上がり、今回の転職で1000万円を超えました」(松井氏)

大手通販会社で商品開発から販促まで一通り業務を経験した松井氏は、「ビジネス全体を見られる立場で仕事をしたい」という思いから、食品メーカーに転職。当時、このメーカーでは手薄だった通販部門を伸ばすため、この分野の専門家を求めていたのである。

「ここでは既存のチャネルには乗りにくいが、お客様に理解されれば売れる商品がたくさんありました。そこで通販の特性を活かし、情報を整理しタイミングに合わせてお客様にお伝えするようにして定期購入者を増やしました」(松井氏)

そして松井氏はほとんど売り上げのなかった通販事業を数十億円規模に成長させていった。それほどの実績を残したにもかかわらず、さらに転職することになったきっかけは処遇面にある。社内で通販事業は傍流部門のため成果を出しても評価されず、職位が入社した時点の肩書のままで、今後も昇進の見込みはないと判断したのである。

「この会社ではアウトソースを使って通販事業を動かしてはいたものの、部下がおらず人をマネジメントする経験ができませんでした。このまま年を重ねると、ビジネスマンとしての成功はなくなると思いました」(松井氏)

「将来はビジネスオーナーになるか、最低でも1つの事業部をマネジメントする立場になりたい」という夢を持つ松井氏は、危機感から転職活動を開始。そしてマネジメント職を用意してくれた現在の通販会社への転職を決断した。

「この会社はBtoBで通販のコンサル事業も手がけていて、自分の土台を活かしながら新しいチャレンジができ、業績に貢献できる自信もあったのが決め手でした。40歳を超えて『チャレンジしました、でも失敗しました』というわけにはいきませんから」(松井氏)