登山にたとえてみます。1000メートルの山を目指して頑張れば、半年後には700メートルや、800メートルの山に登ることができます。では、同じ人が2000メートルの山を目指したらどうか。目標を倍に設定して本気でそこに到達しようと思えば、おのずとトレーニングの量や内容、取り組む姿勢が変わってきます。トレーニングの濃度が倍になれば、半年後は1400メートルから1600メートル登れるようになっていてもおかしくありません。

未来の自分を過小評価するのはよくないと述べました。自分には無理と決めつけるのではなく、自分は潜在能力があり、高い目標設定がそれを顕在化させてくれると信じることです。その確信を持って、目一杯に高い目標を掲げます。

一番高い山を目指す一方で、誰も登ったことのない山を探すことも大切です。基礎体力をつけるためなら、ほかの人が登った高い山にチャレンジすることも大いに意味があります。しかし与えられた領域で頑張るだけでは、より創造性が求められるこれからの時代を切り拓いていくことはできません。自分が勝負する領域は、自ら選び、設定すべきなのです。

そうでなければ人生に何の意味があるでしょうか。いまの自分は不完全で修業中の身だとしても、そのプロセスを含めて、目標設定の全権は自分にある。そういう絶対不可侵領域としての自己を確立することが、自分の人生を生きるということなのだと思います。

慶應義塾大学大学院特任准教授
ジョン・キム

1973年、韓国生まれ。日本に国費留学。英オックスフォード大学客員上席研究員、米ハーバード大学客員研究員を歴任。独自の哲学と生き方論が支持を集める。

(図版※注:gooリサーチとプレジデント編集部の共同調査により、「時間とお金」に関するアンケートを、2011年11月15~17日の期間で実施。個人年収500万円台と1500万円以上のビジネスパーソン計613人の有効回答を得た。)

(構成=村上 敬 撮影=葛西亜理沙)
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