サラリーマンの出世は、課長までは個人の実力です。営業職なら断トツで売り上げを伸ばせば、課長昇進は間違いありません。しかしそこから先へいくためには、次の3つの能力が求められます。

第1は、お客様に対する感度のよさです。信頼関係を築いたうえで、相手の立場になって考えることができなければ、市場への積極策が打ち出せず、事業を伸ばすことができません。

第2は、部下の話に耳を傾け、現場の状況を理解する傾聴力です。私は「口で聴く」と言いますが、部下にいろいろと質問することで現場の状況は深くつかめます。この傾聴力がないと、10年も20年も前の成功体験で指示を出しかねません。

第3は、部下の報告を確認できる現場力です。まともな部下は、不都合な情報は隠して報告するものです。現場へ出かけ、確認する必要があります。部下の報告を鵜呑みにして判断を誤ったなら、それは上司の怠慢です。

この3つの能力が部長以上には必須であり、さらに「イエスマン」であるなら立派な幹部候補です。

実力とは「失敗の量と質」

イエスマンといっても、自分の意見を述べないわけではありません。時には社長が嫌がることを進言するのも、大切な役目です。

ただし社長の器が小さいと、反論するだけで機嫌を損ねますから、そこは工夫しないといけません。

特に苦言を呈する場合は、人目を避けるべきです。1対1で酒を飲みながら、「社長はああ言われましたが、この点にも注意されたほうがいいと思います」と言い方にも神経をつかう。もちろん日頃から信頼関係を築いておくことが前提です。

私も、あれこれ文句を言ってくる部下を集めるようにしています。社長の顔色ばかり見てヨイショするだけの幹部は不要です。

幹部にしたくないタイプにも共通点はあります。