表を拡大
都道府県別ランキング(1~23位)※

例えば、私にも地域医療の現場でこんなことがありました。ばあちゃんから、夜中の2時に「膝が痛くて歩けない」と電話がありました。「ばあちゃん、じゃあ明日朝にでも往診に行くよ」と伝え、朝6時に出勤すると、ばあちゃんが診療所に歩いてきている(笑)。逆に、10のことを1しか言わないじいちゃんから「ハラが痛い」と電話があったときは、その瞬間に自宅を飛び出し、大雪の中を往診に行ったことがありました。実際に目の前の患者の訴えに対応する一方で「本当に必要なもの」がなにかを探るのが佐久病院流のやり方なのです。

図を拡大
都道府県別ランキング(24~47位)※

しかし現在の医療制度は、患者たちのウォンツ(欲求)を満たすことばかり考えているような印象を受けます。患者を消費者として捉えれば、それも正しいのかもしれませんが、本当に必要な医療行為なのかは別の問題です。膝が痛いというのは、話を聞いてほしいだけかもしれない。子どもを小児科で診てもらいたいというけど、実際はどこの家庭にでもあるような子育てにまつわる不安を解消したいだけかもしれない。医療用ヘリコプターがない地域に、「ドクターヘリが欲しいですか」と問えば、誰もが「はい」と答えるでしょう。しかし、優先すべきことが別にあるのではないか。逆に「俺は元気だ」と言い張る人からも心の内を覗こうと「聴“心”器」を当ててみれば、病気が見つかったりするものです。

佐久病院に、経営方針はほとんどありません。そのときの「農民のニーズに応じる」というのがほぼ唯一で、それに付け加えるならば「弱い者を支える」といったことぐらいです。

ここでのポイントは、「ニーズ」という言葉です。言語化されておらず、それを自覚しているのかどうかわからない状態の農民に対して、一緒に酒を飲んで話を聞き出すぐらいの取材をしてから、健康な体を維持できるよう促していく。

お金にはならないし、短期的にすぐに成果が出ることもありませんでしたが、20年、30年と経つと国際的にも認められはじめ、40年、50年経つと、みなさん(プレジデント編集部)のように長寿の秘密を取材してみたいと思うようになるわけでしょう(笑)。