「本人の学力に合わせて、併願校のプランをきちんと立てられていれば、偏差値50台の私立校に進学できたと思います」

強烈ママとエネルギー不足の息子。何とも極端な組み合わせだが、馬上がそこに見いだす根本的な問題点は、親子間のコミュニケーション不足だ。

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2013年3月にネット調査を実施。対象は、首都圏と関西に住む30代、40代、50代の男女200人。未婚者、既婚者ともに含まれる。調査協力はアイブリッジ。

「面談をしていますと、いろんなことに気づかされます。志摩子さんのように、専業主婦の方でしたら、普段、子供と接している時間は長いはずなのですが、まるで子供のことを理解しておられない。そういった方に限って、客観的に成績を見ておらず、子供や塾に過度の要求を突き付けてしまうので、もちろん、いい結果を生みません。そして、近年の入試傾向として、今後は親子間の会話が少ないことが、高校入試の結果に直接影響を及ぼし始めるかもしれません」

馬上がそう懸念するのは、高校入試の段階でコミュニケーション能力やリーダーシップが問われ始めているからだ。

「都立高校の入試では、昨年度から推薦入試において集団討論が必須となりました。これは政治経済や国際問題をテーマに、受験生同士で意見を言わせるものです。たとえば、テレビや新聞で見聞きした問題を、親子で普段からどう話し合っているか、そんな家庭の習慣が、受験の合否そのものを左右する時代になってきました」

集団討論の練習の場として、模擬討論を行うと、きっちり発言できる子とそうでない子がはっきり分かれる。親子関係の差が、この差につながっている――、馬上はそう感じている。

教える人:馬上重浩/駿台フロンティアJr.お茶の水校 高校受験専門館校舎長
駿台フロンティアJr.お茶の水校高校受験専門館校舎長。教壇に立って30年、これまで多くの保護者・生徒と接し、数々の成功例を生み出してきた。そしてまた、次の成功者を生み出すべく日々指導にあたっている。
(教える人:駿台フロンティアJr.お茶の水校 高校受験専門館校舎長 馬上重浩)
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