実力以上に自分を大きく見せるには

「一線のビジネスマンはみなさん内実をお持ちです。しかし外見として可視化することに慣れていないのです」

幾多の経営者・ビジネスマンの「外見力」を磨いてきた大森氏の持論である。具体的にはファッションや仕草、話し方などについて徹底指導する。課題は、電力不足が招いた「スーパークールビズ」をどうとらえるかだ。

「ジーンズや沖縄のかりゆしウエアをビジネスマンの仕事着として認めるべきだという指針が出ています。従来のクールビズもそうですが、これは私どもが言う『ビジネスカジュアル』の範疇です。問題は、指針が決まってしまえば、どういうシーンでもそれで通用すると思い込んでしまう人がいることです。恐ろしいことです。欧米ではまず考えられません」

根が真面目な日本人は、お上がお墨付きを与えれば、大事な商談の場にも、たとえばアロハシャツを着て出かけてしまいかねないというのである。

「欧米のビジネスマンは、自分のオフィスにはカジュアルなスタイルで出勤しても、重要な商談に出かけるときは相当パワフルなスーツを着ていきます。いくら節電が必要でも知性や常識を失ってはいけません。大事なことは、自分たちが暑く感じるかどうかではなく、お客様から信用や好感度です。とくに外資系は『見た目重視』ですから、注意しなくてはいけません」

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感じがよい人の6つの要素

TPOにあわせて、場合によってはスーツを着用しなさいというのである。もう一歩進めて、「感じのよさ」を演出するにはどうすればいいか。

大森氏が勧めるのは、ボディーランゲージ、カラーメッセージなど6つの要素に分けて検討することだ(図1)。

「ボディーランゲージとは表情や姿勢、服装、パラランゲージは話し方や声の印象です。そしてランゲージは話の中身、カラーメッセージはその方に似合う色やその場にふさわしい色のことです」

ボディーランゲージのなかでは、とくに「元」のつくところに注意せよと大森氏はいう。

「英語でいえばエッジの部分、目元、口元、耳元、手元、襟元、足元です。ここに心が表れます。たとえば相手を丁寧にリスペクトしようと思えば、両手で名刺をいただきます。手元ですね。相手を受け入れようと思えば、口角、つまり口元が上がります。そして真剣味を表すのはやはり目元です。握手をするときに目を合わせない人を欧米人は信用しません。真剣味がなく、信用度をなくします。服装よりもむしろアイコンタクトが重要といっていいでしょう」