競争が激化し、秘密主義に対する風当たりが強まるなかで、企業秘密を守りつつ情報開示をするにはどの程度の透明性を目指せばよいのでしょうか。ニコラス・ロドリゲス(ペルー)


 

透明性という点で、リーダーがやらなくてはいけないのは、4つのルールをしっかり守ることです。そのうち2つは簡単です。1つは簡単なはずなのですが、うまくいかないことが多い。そして最後の1つは、ただただ難しい、というものです。しかし、リーダーはそのすべてをやる必要があるのです。

1つ目のルールからいきましょう。投資家やアナリストやメディアなど、外部の世界に財務情報を伝えるという点では、上場企業はどれほど高くても足りないくらい高い透明性を維持しなければなりません。開示されるあらゆるデータが市場の知見を高め、ひいては信頼を築いてくれます。「物言う株主」たちが鵜の目鷹の目で粗捜しをするにもかかわらず、これはほとんどの企業がきちんとやっています。

2つ目のルールです。市場優位を獲得するという点では、企業はどれほど秘密主義になっても足りないくらい秘密保持を徹底しなければなりません。たとえば画期的な製品を開発中のこともあるでしょうし、大胆な買収を検討していることもあるでしょう。経営者はそうした情報の秘密を保持するために戦わなければなりません。

3つ目のルール(ここで躓くことが多いのです)。工場の閉鎖やレイオフなど、社員が「絶対に御免だ」と思う類の変革について社員に伝えることです。言うまでもなく、社員が一番後に知らされるなどということはあってはなりません。社員は真っ先に知らされるべきなのです。

しかし、なぜか典型的なシナリオはこうです。まず、企業が業績不振に陥り、それからアナリストの厳しい目を和らげるために、正確そうに見える大きな数字を並べた人員削減計画を発表します。その発表は社員に不意打ちをくらわせるだけでなく、再建策として何を行うのか、誰に対して行うのかを経営陣が打ち出すまで、通常は何週間も(ときには何カ月も)社員を宙ぶらりんの状態に置くことになります。合併の際にも同じことが起きます。

4つ目のルールは、ただただ難しいのでほとんどの企業では守られていません。なぜ難しいかというと、このルールは経営陣に、人間の自然な感情に逆らうことを求めるからです。最も姿を隠したいとき、つまり危機のときに、公衆の面前に出ることを、です。

よくありますね、会社の不祥事が公になり、険しい表情の幹部たちが急遽、会議室に集められる。でも、結局は「問題はたいしたものではなく、わが社はそれを完全に封じ込めている」という趣旨の言い逃れの発表をするだけに終わる、ということが。なんと無意味な作業でしょう。

ビジネス上の危機はどれもみな、当初の印象より多くの人を巻き込み、多くのカネがかかり、大きなダメージを与えます。それに、この世に秘密にしておけることなどありません。ですから、危機の際の唯一の有意な戦略は、最大限にオープンにして、何がまずかったのかを見つけ、それを正すことに全力を傾けることなのです。