つまり、経営者の本音は「手取りの額の分だけ働くなんてとんでもない。今の3倍は働いてから文句を言え!」である。だから意識の低い社員に対しては、「会社はあなたに毎月90万円かけている」と具体的な数字を明示するべきなのだ。すると社員のほうも「そうか」と理解する。しかし、残念なことにそれだけでは意識は変わらない。心のどこかに「給料は天から降ってくる。じっとガマンして毎日通っていれば、必ず月末には降ってくる」という“サラリーマン意識”が残ったままなのだ。

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給料分を働くのは思いのほかキツイ!

会社員の給料は公務員と違って、会社の売上金から出ている。25万円という現金をもらうためには、どれだけ仕事をすればいいのか。もちろん、会社がかけている90万円を稼いだからといってOKではない。商品原価、宣伝広告費、通信費、旅費交通費、事務所費、総務や経理などスタッフ部門の人件費などさまざまな経費がかかる。最低300万円の売り上げを上げないと90万円という給料分は出てこない。300万円売り上げてはじめて手取り25万円をもらうことができるということを教えない限り、社員の甘いサラリーマン意識は払拭できない。

そして、そういう説明をした後で、こう聞いてみるといい。

「君は会社という組織に属さず、何もかも1人でやって、25万円のお金を月々コンスタントに手に入れることができるかね?」と。

「できる」と答えられる人は、よほど優秀か、よほどの世間知らずか、どちらかだろう。

ほとんどの社員は、そこで初めて気づくはずだ。

――今もらっている給料は、オレの分だと威張って受け取れる性質のものではない。会社からのお恵みの部分がかなり大きいのだと。管理職や重役だって、このことに気づいていない人が多い。恥ずかしい話だが……。

鬼 第1則

給料が毎月、天から降ってくると
思っている人に聞きたい。
“いまの給料の額”を、
会社に属さずに手にできるかと…

(※『上司が「鬼」にならねば、部下は動かず 上司の鬼31則ノート』第1則(プレジデント社刊)より)

(構成=プレジデント書籍編集部)
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