2013年4月26日(金)

揚げ物は低温と高温を覚えておくと便利です

プレジデントFamily 2011年6月号

大塚常好=文 市来朋久=撮影 塩出尚子=撮影協力
先生:佐藤秀美

 

春の行楽シーズン到来。お弁当のおかずの定番は、何といっても鶏の唐揚げやえびフライ、フライドポテトだ。アウトドアで食べる揚げ物はとにかくおいしい! でも、揚げ物のメカニズムやその正しい調理法は意外に知られていないようで。

 

――揚げ物をしているとき、鍋の中ではどんな現象が?

 

(出典)浜田滋子「三重大学教育学部研究紀要」第34集

先生熱した油に食材を入れると気泡が出てきますよね。実はあれ、すごい勢いで水と油が交代しているんです。高温の油に沈められた食材、あるいは衣に含まれている水分が蒸発し、その水が抜けた部分に油が入り込むのです。これを水と油の交代現象といいます。

――水と油の交代現象と、おいしさとの関係は?

 

先生水が十分に蒸発して、そこに油が入り込んだ揚げ物ほどおいしく感じるのです。食材の表面や衣が乾燥しカリッ、サクッとした食感と、食材そのものの甘味やうま味、肉汁のジューシーさなどが口の中で合わさって「おいしさ」となります。

――では衣の内部の食材は油の中でどのような現象が起きていますか?

 

先生天ぷらやトンカツなど衣つきの揚げ物では、衣の中で蒸されているのと同じように加熱されていきます。食材の表面からの伝導熱で熱が伝わるため、中心温度は比較的緩やかに上昇していきます。

――揚げ物の失敗は「ベチャッ」とした食感になることです。

 

先生それは、水と油の交代がスムーズに行われず、水分が食材や衣に残ったままだから。よく「衣が油を吸ってベチャッとしてしまった」と思われがちですが、出ていっていない衣の水分が失敗の原因なのです。適温よりも低い温度で食材を揚げた場合などで、重たい食感になってしまいます。

――鉄則は適温ですね。

 

先生油の量をできるだけ多くすることも水と油の交代現象をスムーズにします。量が多いほど熱を蓄える力(熱容量)が大きくなり、食材を投入しても油の温度が下がらずキープできます。また、一度にたくさんの食材を入れるのも温度が下がる原因になりますから、少しずつ入れることもベタつき防止に役立ちます。一度に入れる食材の目安は、食材の表面積が鍋に入れた油の表面積の2分の1以下です。

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大塚 常好