住まいは都内の一戸建て。6500万円の住宅ローンが家計を圧迫する。近所の高級スーパーで有機野菜や有名店の総菜などを購入するため、食費もかさんでいるようだ。

預金残高が毎月減っているので赤字なのはわかっているが、家計簿はつけたことがない。そこで、わかる範囲で生活費を書き出した。使途不明金が5万3000円もあるのは、認識している以上の額を使っている証拠だ。

原田さんは定年退職まであと11年。退職金で住宅ローンを払うと老後資金が不足する。妻と年齢差があることからも、老後への不安は高い。

現在の家計はまさに綱渡りの状態で、今すぐ見直しが必要だ。まずは現在使っている生活費を正しく把握すること。同時に、こづかいは5万円に削減し、子どものお稽古ごとも最小限に絞り込む。この際、車も手放すといい。余裕ができたらまた買えばすむことだ。今後も子どもを私立に通わせるなら妻も働いたほうがいい。

大企業といえども何が起きるかわからない。見栄は捨てて大改革に取り組まないと、わずかな揺れで家計は簡単に崩壊してしまうだろう。

河井家はここが優秀!
無理せず貯まる合理家計。住宅ローンは安全重視

特別な節約をしているわけではないが、全体にバランスよく家計を引き締めている。妻の収入がなくても十分暮らせるが、仕事を続けることでスキルを維持すれば変化があっても対応可能。車を持たない合理的精神もあって、無理なく自然にお金が貯まる体質だ。住宅ローンを固定金利で借りているのは、収入の変動を考慮して安定性を重視した堅実な選択。

家はここを改善!
今すぐ意識改革が必要。聖域のない生活費削減を

高収入に慣れた妻に危機感はなく「夫の収入が足りない」とさえ思っている。早急に意識改革が必要。老後を考えても女性の平均寿命は長いため、妻が10歳年下だと老後資金も多く必要になる。まず家計簿をつけて現状を認識、聖域を設けない生活費削減を断行して月10万円以上の貯金を確保する。老後資金は退職金をアテにせず、妻も働いて貯金を増やすべき。

(有山典子=編集・構成 PIXTA=写真)
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