低価格より好立地:「タニタ食堂」の運営も手掛ける

【きちり】駅前のビル中などに立地するきちりの店舗。ホテルのフロントのようなその入り口は、価格競争と無縁であることを示している。

デフレ時代に大胆な発想の転換をしたのが、ダイニングレストランチェーンを展開するきちりだ。居酒屋や牛丼など、飲食業界は、いま低価格競争の真っ最中。身を削るようなコストカットで低価格路線を突き進んでいるチェーンが目立つが、藤根氏は「きちりは価格競争に巻き込まれない戦略を取っている」と指摘する。

「きちりの平均客単価は4500円前後で、比較的高めです。それでもお客が入るのは、ターミナル駅の駅前に構えているからでしょう。駅の真ん前だと同業が少なく、価格競争に巻き込まれにくい。立地がいいと、ヤングアダルトの合コンや結婚式2次会の需要を取り込みやすく、客単価も高めに設定できます」

きちりが運営を手掛けるタニタ食堂も話題になり、12年6月期は経常利益2.7倍(予想)と躍進。今後は中価格帯の多店舗展開も視野に入れている。ポスト価格競争の台風の目として要注目だ。

●門前薬局の出店攻勢で利益を伸ばす
【アインファーマシーズ】立地を重視し、病院の開設、移設と連携した大型店舗の開発により、安定成長が続いている。

低価格より好立地重視のビジネスモデルは、調剤薬局も同じだ。購入に医師の処方箋が必要な医療用医薬品は、薬価と呼ばれる公定価格によって価格が決められている。価格があらかじめ決まっているなら、立地のいいところに出店して、多くの顧客を獲得することが売り上げと利益を伸ばすための基本戦略になる。

調剤薬局の立地は、病院のそばに店を構える門前薬局(点立地)と、住宅街や駅前などに店を構え広くカバーする面立地の2種類がある。後者は処方箋を扱わないドラッグストアも進出しているが、利益を出しやすいのは、患者数が多く、医薬品の単価も高い前者のほう。商圏を調査して独自に出店するより、病院のコバンザメで店を出したほうが儲かるのだ。

「門前薬局の出店攻勢をかけているのが最大手のアインファーマシーズです。同社はM&Aにも積極的で、中小の門前薬局を次々と傘下に収めています。当然、店舗数が多いほうがスケールメリットを享受できて有利。実際、12年4月期決算では純利益が5期連続で過去最高を更新して、業績は絶好調です」(藤井氏)