問い詰めないファンド

BBTでは起業家支援のファンドを設けている。名付けて「SPOF(スポッフ)」。「背中をポンと押すファンド」で、そのまま日本語の頭文字を取ってネーミングした。ABSをはじめBBT関連の大前スクールで勉強した人が事業計画書片手に資金を貸してほしいと言ってきたら、簡単なスクリーニングだけで、一口最大200万円の資金援助をするのだ。

援助の際、最低限度のスクリーニングやプレゼン、面接はあるが、難しい審査はしない。

私はビジネスコンテストの審査員を数多くやってきたし、有力な事業計画には1000万円を超える投資もしてきた。そういう場合には取締役を派遣するなどして成功に導くため手取り足取り指導するのだが、SPOFではそこまで踏み込まない。

18年も起業家養成をやってくれば、事業計画は5分も聞けば芽が出る話かどうか、すぐにわかる。しかしそこは問い詰めずに、起業しようかしまいか決めかねている段階で背中をポンと叩いて、「心意気があるならやってみろ。この金は大事に使えよ」と応援する。そういうファンドだ。

ベンチャーキャピタルと違って綿密な事業計画を求めるわけではないから、成功率は決して高くはないかもしれない。我々は教育機関であり、我々の下に経営の勉強にきた志のある人が起業しようとするときに、それを後押しするのは当たり前のことだと考えている。親や親戚に借金をして起業を決意する、その瞬間に我々も精神的、実務的な支えになったらいいと思っている。

■アタッカーズ・ビジネススクール
http://www.attackers-school.com/

(次回は「人を創る仕事[3]」。4月15日更新予定)

(小川 剛=インタビュー・構成)