面白いアイデアを思いつくのも大切だが、そのアイデアをどう具体化していくかも、同じくらい重要だ。『グーグル ネット覇者の真実』『コンテナ物語』は、新しい検索エンジンや、コンテナを利用した輸送システムといった、極めて斬新なアイデアを、いかにビジネスとして実現化していったかという点で参考になる。

『グーグル ネット覇者の真実』スティーブン・レヴィ/阪急コミュニケーションズ
アメリカの大学院生が「リンクが多いサイト=イケてるサイトでは?」と思いつき、Googleを実現させる物語。起業の過程と検索エンジンの仕組みがわかる。

『コンテナ物語』マルク・レビンソン/日経BP社
1956年に登場した「コンテナを利用した輸送システム」により世界は激変した。奇抜なアイデアを実用的にフォーマット化していくプロセスが興味深い。

仕事の幅を広げるには、このように、一見、仕事と関係ない「無駄な迂回」の蓄積こそが武器となる。ぜひ、実際に本屋に足を運び、自分の感性で本を選んでほしい。定期的な本屋歩きが、やがて大きな差につながるはずだ。

『情報の呼吸法』津田大介/朝日出版社
Twitterの第一人者が、フォロワーの増やし方、信憑性のはかり方、アイデアを生む「連想ゲーム術」など、情報をもとに人を巻き込み変化を起こす方法を指南。

『一般意志2.0』東浩紀/講談社
ルソーが提唱した民主主義の概念「一般意志」はGoogleやTwitterから読み替えるとしっくり理解できる。「情報社会」による新しい民主主義の可能性を提示。

『ウェブはバカと暇人のもの』中川淳一郎/光文社
新書将来性ばかり強調されがちなウェブだが、少数の暇なフリークによる「炎上」、それを警戒した自主規制など負の部分を指摘。メディアリテラシーの良書。

『わたしは英国王に給仕した』ボフミル・フラバル/河出書房新社痛快に出世するチェコの料理人の物語。「これが世界文学の棚にあるのか東欧コーナーなのか料理書と並べられているかで本屋のセンスと相性がわかります」。

『マカロニの穴のなぞ』原研哉/朝日新聞社
気鋭のデザイナーが、日常の事象の細部に宿る「デザインの神様」を流麗な文章で綴る。デザインがいかに人の心を動かすか、心に迫るストーリーが満載。