ちょっとそこまでニーズ:Kカー利用者の5%が超小型車に期待

【トヨタ車体】初年度目標は3000台の販売/小回りがきいて、使い勝手のよい超小型車は軽自動車に代わるお買い物グルマとして期待される。しかし、2人乗りのタイプを実現しようとすると、道路運送車両法の見直しが必要に。

みなさんは「超小型車」をご存じだろうか。オートバイよりも大きく、軽自動車よりも小さい1~2人乗り自動車のことだ。まだ開発途上だが、シニアの「ちょっとそこまでニーズ」を満たす新しい足としても期待され、官民挙げての普及活動が始まっている。

超小型車の開発をリードする自動車メーカーの1つがトヨタ車体。すでに00年、公道を走れる超小型電気自動車「コムス」(道路運送車両法上は「第一種原動機付自転車四輪」)を世に送り出している。今年7月から新型を全国で発売、販売目標は年3000台だ。「これまで主に業務用で使われていたが、一般ユーザーを増やすため、乗り心地や安全性を改善した」と同社の大橋宏専務取締役は話す。

コムスは1人乗りで、全長2.4メートル前後、全幅1メートル前後しかない。それだけに小回りがきき、狭い路地でも通れる。最高速度は時速60キロメートルで、最大積載量は30キログラム。希望小売価格は一般用タイプで79万8000円。国の補助金が満額使えれば、実質72万8000円で購入できる。車検、車庫証明、重量税、取得税も不要だ。フル充電で約50キロメートルの走行が可能である。

「シニアが多い軽自動車ユーザー140万人を調査したところ、超小型車を希望した人が5%いた。シニアにとって軽自動車は大きすぎるし、経費もかかる。身体能力が低下したシニアでも、コムスは運転しやすい。近くにちょっと買い物に行ったりする場合には、コムスが適している。過疎化などで交通が不便になった地方では、活躍の機会が多いだろう」と大橋氏はいう。