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ガソリンと円の推移

アベノミクスに国民の関心が集まる中、3月8日の衆院予算委員会では「歴史上始まって以来」(麻生太郎副総理)という、政府と共産党が足並みを揃える場面があった。共産党の笠井亮氏が国民の所得・賃上げが早急に必要と訴えたのに対し、安倍晋三首相が同調したのだ。

株高・円安を進めるアベノミクスであるが、消費者にとって手放しで喜べるものではない。「円が急落するとエネルギー燃料の価格がダイレクトに上がり家計負担が増します。その一方で、多くの企業で給料がすぐに上がることはありません」と野村証券エコノミスト尾畑秀一氏は話す。

工業製品に強い日本は、輸入品が高くなれば国内で代替できるが、資源・エネルギー・食料品といったコモディティは代替するのが難しい。電気代やガス代、クルマの燃料費など家計への打撃は免れない。また、燃料費が上がれば輸送コストも上がるので、スーパーやコンビニの商品の値上がりも懸念される。

一方で、給料はなかなか上がらない。円安によって輸出企業の収益が増大し、給与の賃上げが一部で期待できるものの、実際に日本全体で賃金のベースがアップするまでには「2~3年のタイムラグ」(尾畑氏)ができてしまう。

冒頭の政府と共産党の「歴史的同調」の背景には、家計負担が増す一方で賃金アップまでに時間がかかることに、政府が強い危機意識を持っていることがある。企業をまずは奮い立たせた政府だが、消費者の信頼を勝ち取るには険しい茨の道が続く。