隠せば隠すほど誤情報が飛び交う

給与に限らずどのような話題でも、情報がなければその空白を埋めようと誤った情報が忍び込むものだ。だが、誤情報は真実よりも有害なものだ。専門家や今回の調査結果によれば、社員が特に知りたがっているのは、同僚と比較して自分が正当な給与を得ているかどうか、という点だ。誤情報が広まったり、それが勤労意欲を減退させる可能性があるなら、口の堅い経営者は、給与体系について沈黙することの代償を自問すべきであろう。たとえ社員が給与についての情報を求めていなくとも、企業は給与情報を与えるのが賢明であることを今回の調査は示している。

今回の調査によれば、管理職は、社員の業績を評価することより、給与について話し合うことのほうに、より「自信がない」と答えている。調査対象の管理職の80%以上が業績の評価や目標を説明する能力には自信があると答えているのに、職階について、職階内で最大の給与を得るためにどうするかについて、また、企業内の給与制度の一貫性などに関する社員の質問に、自信を持って答えられると返答した管理職は約40%にすぎなかった。

特に難しいのは、管理職が標準以下の昇給について部下に説明しなければならないときのようだ。管理職はこのような会話を避けるために、全員を同率で昇給させたがる、という指摘もある。こうした姿勢はデリケートな会話を避けることを可能にする一方で、それによって管理職は最も強力なモチベーションツールを失う。こうしたやり方は、給与に割り当てる限られた財源の使い方としては最善とはいえない。