一方の男性は、(1)「企業内の仕組みの欠如」、(3)「社会インフラの不足」を指摘するという点では女性と同じだが、(8)「女性の意欲不足」を指摘する人も多い。女性自身も覚悟が足りない、甘いんじゃないのと釘を刺しているわけだ。それに関連するのか、(11)「この管理職比率が低いとは思わない」という項目をあげる男性も女性と比べて多い。

ところが、世界はさらにその先をいく。12年11月、EUの欧州委員会は上場企業に対して、「非常勤役員に占める女性の割合を、20年までに40%以上とすべし」という指令を出した。現在EU27カ国平均で女性役員比率は13.7%、非常勤に限ると15%。日本の女性役員比率は1%以下だから、ここでも大きな差をつけられている。

高齢化と人口の減少が進むなか、女性にもっと働いてもらわなければ国が立ちゆかなくなってきた。それが今の日本だ。ゴールドマン・サックス証券が10年に発表したレポートも「ウーマノミクス(女性経済)」の重要性を説き、日本の女性の雇用率(09年=60%)が男性並み(80%)になれば、日本のGDPが15%押し上げられると主張する。そのためには女性雇用の量だけではなく、質も上げる、つまり、ふさわしい人材を抜擢し、管理職、あるいは役員、経営者として、企業を牽引する立場を担ってもらわなければならなくなっているのである。

そんな状況に棹さすかのような試みが、12年11月、都内で行われた。一言でいうと、人材紹介の新しい形である。具体的には、選抜した女性管理職候補者に、5日間のリーダーシップ研修を受講させたうえで、企業に紹介するというもの。女性たちは無料で研修受講および合同面接会に参加することができる。採用が決まった場合のみ、主催者が採用した企業から研修費を上乗せした紹介料をもらう、というスキームである。主催しているのは、シングルマザーの正社員人材に特化した人材紹介業を07年にはじめたハーモニーレジデンスと、研修を担当する2社の計3社である。

ハーモニーレジデンスの福井真紀子社長によれば、全国から約40人の希望者が集まり、そこから最終的に12人まで絞り込まれた。