(PIXTA=写真)

元々理数系が得意だった。北京の理工系大学を卒業後、日本の大学院で機械工学を学んだのち日本の名門商社に入社、ビジネスのノウハウを学んだ。

その後、社員2人で起業し、半年で黒字化。2008年9月のリーマン・ショックでややへこんだとはいえ、毎年ほぼ倍々ゲームで売り上げを伸ばしているという。

「昔から金銭には淡白でした。中国人は商人、日本人は職人といわれますが、私は両方。それが成功の一因かもしれません。友人もメーカーの技術者が多いですね。親戚に華僑と呼ばれる方はいません。華僑はマネーゲームに没頭する傾向がありますが、僕はそれはちょっと違うと思っています」

とにかく、見栄とムダを嫌う楊さん。

「お金を使うにも、使い道を探すのにストレスが溜まります。それは金銭の奴隷です。まったく意味がありません」

社用車は、500万~700万円のBMWを使う。「お客さんをどこへでも快適に、失礼のないように運べればいい」。1800万円する超高級タイプも「買おうと思えばすぐにでも買える」というのだが、そうはしない。

「買う意味がわからない。車は人のためにあるもの。移動するだけならもっと安くていいし、万一傷がついたらものすごくこたえる(笑)。磨いたり修理したり、人がベンツのために存在するみたい。本末転倒ですよ」

見栄を張る人は自分に中身がない、自信がないから、と断じる。

手持ちの資産は自社株が約3億円分、投資に回している1億円、取引先の株約6000万円分等々で計5億円のほか、首都圏内にマンションを所有する。給与や自社株の配当などで税込み年収は6000万円超。「無借金経営だし、やろうと思えば自社株の配当率を大幅に引き上げて収入を増やすこともできるけど、これは内部留保に回しておく」。月割りで振り込まれるが、ほとんどは貯金に回すという。