次の5冊は、経済を知るための手引きだ。『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』から『1940年体制』までを読むと、経済だけではなく日本の成り立ちがわかってくる。『昭和史』からの5冊は、人間について理解するための良書だ。

『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』藤沢数希/ダイヤモンド社
ユーロ危機から中国のバブル、アメリカ国債問題、日本のデフレ経済まで、すべてのつながりが見える経済入門書。ごく簡単に今の経済を俯瞰するのに最適。

『現代の金融入門[新版]』池尾和人/ちくま新書
情報とは何か、信用はいかにつくり出されるかといった金融の本質に迫るロングセラーを、金融危機の経験をふまえ全面改訂。世界経済と金融の骨格がわかる。

『デフレの正体』藻谷浩介/角川oneテーマ21
「景気さえ良くなればOK」という考えは時代錯誤、日本経済の問題は「2千年に1度の人口の波」にあると主張。「失われた20年」の理由を説明する。

『通貨を読む〈第3版〉』滝田洋一/日経文庫
円高、円安の仕組みをきちんとご存じだろうか? 世界経済を知るために不可欠な「為替」を解説した良書。リーマンショック以降の最新情勢を加えた改訂版。

『昭和史 1926-1945』半藤一利/平凡社
日中戦争から太平洋戦争の時代を検証、「底なしの無責任」は何をもたらしたか? 現憲法が制定された過程など「昭和」を知ると今の日本が見えてくる。

『クアトロ・ラガッツィ』若桑みどり/集英社文庫
戦国時代末期、初めてローマを訪れた「天正少年使節」の4少年(クアトロ・ラガッツィ)の軌跡を追う。日本人の素晴らしさに感動する大佛次郎賞受賞の傑作。

『宇宙は本当にひとつなのか』村山斉/講談社ブルーバックス
突き詰めれば人間は星のかけらのひとつ。目に見えない多くの次元と無数の宇宙が存在している可能性を示し、「宇宙とは何か」を問い直す最新宇宙論入門。

『単純な脳、複雑な「私」』池谷裕二/朝日出版社
人間が人間たる所以は脳にある。私とは何か。心はなぜ生まれるのか──。脳研究者である著者が母校の高校で脳科学の最前線について語った感動の講義録。

『生物学的文明論』本川達雄/新潮新書
生物の形・大きさ・エネルギー・時間の意味と相関関係を考察した論考。人間についても「老いては子育てを手伝え」など生物学的発想で生きる道を提示。

『1940年体制』野口悠紀雄/東洋経済新報社
1990年代以降の世界経済の変化に適応できなかった理由は戦時期に生まれた大企業中心の「日本型経済システム」にあった ! 日本経済がよくわかる1冊。