この制度を利用して鉄道ファンに有名なのが「我孫子詣」。前出の田端さんに話を聞こう。

「我孫子駅構内に店舗を構える『弥生軒』という駅そばの人気メニュー『唐揚げそば』を求め、多くのファンが連日押し寄せています。こぶし大はあろうかという鶏唐揚げが2つのって440円です」

「電車特定区間」活用で年9080円安く

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食べ応えは当地で体験いただくとして、肝心なのは経路だ。JR常磐線我孫子駅にはまず東京駅から山手線で上野駅へ。そこから常磐線快速で約30分。そこで「唐揚げそば」を食べて再び常磐線を北上。友部駅(茨城県)で水戸線に乗り換えて小山駅(栃木県)へ。そこからは同じ経路を辿らずに有楽町駅まで戻るという寸法。旨いものを食べ、金をかけない大旅行だ。

ここで紹介した「裏技」の背景にあるのは「電車特定区間」および「大都市近郊区間」という料金設定だ。我々が得するちょっとした「裏技」から、JR東日本にとってはちょっとシビアな事情が見え隠れするのが面白い。

「電車特定区間」について田端さんは、「競合私鉄路線との兼ね合いで、割安な料金設定を迫られた」と説明するが、「大都市近郊区間」については「特に都心部では路線が複雑で、乗車駅から降車駅までの料金計算もまた同様。同区間の利用でも使用路線の違いで料金に差が出るケースがまま出る。利用者の不公平感解消を図ったのが眼目でしょう」

※すべて雑誌掲載当時

(小林久井=撮影)