「たまの贅沢は外食と海外旅行ですが、子供が生まれてからは、海外に行ったのは1回だけですね」

休みが取れたら海外に行きたいと航空会社のカードを使っているが、そもそも貯めたマイルを使う機会がない。

夏と冬のボーナスはそれぞれ手取りで100万円ぐらい。

「半分は住宅ローンなどに消える。半分の50万円を妻に渡すと結構持ちます」

子供関連のお稽古ごとや幼稚園など、日常の支出でカードが使えないことが多い。奥さんはこの現金を使って支払いをし、足りなくなったら「お金がなくなった」と申告する。そのたびに高橋さんは口座にある現金をごそっと下ろして手渡す。結局、残高のほとんどを奥さんに渡してしまい、貯金は常に100万円を切るぐらい。10万円を切ってしまうこともしばしばだ。

「お金を下ろすとき、残高も確認しないなあ」と高橋さん。

さて、こんな高橋家だが、どうしたらお金が貯まるのだろうか? ファイナンシャルプランナーの花輪陽子さんに相談してみた。ざっと家計を診断し、花輪さんはまずカードの使い方について指摘する。

「カードを常に使っていると現金より2割は多く使ってしまうというデータがあります。奥さんに毎月決まった額の現金を渡し、家族カードを使わせないようにしては?」

しかし、高橋さんは渋い顔を見せる。

「限度を考えながらお金を使うのがイヤだと言うんですよね……妻は、『やりくり』とか『家計簿』という言葉が一番嫌いなんですよ」

おそらく、高橋家の平和が保たれ、夫が仕事に専念できるのは、夫婦でお金のことを話し合わないからなのだろう。しかし、花輪さんによれば、これから1番お金がかかるのは子供の教育費だ。