日本の政治家や官僚たちには、強い産業をいかにたくさんつくり、いかに温存していくかが国の存立基盤だという基本的な理解がないのだと思う。強い産業とは、自分の国が一番得意で、世界に輸出できて外貨が稼げる産業である。だからフランスはワインやブランデーやミネラルウォーターを、イタリアは繊維や衣料や皮革を、イギリスはウイスキーを、OPEC諸国は石油を、ブルネイは天然ガスを、オーストラリアは羊毛を、ニュージーランドは農産物を、それぞれ非常に丁寧に守っているのだ。これからのアメリカはニューエコノミーを必死で守るだろうし、それを脅かす日本企業が登場したら、また同じパターンでつぶしにかかるに違いない。それらの国々と比べたら、日本の対外的な産業政策はあまりにもぞんざいでお粗末だ。

しかも、日本政府は弱い産業は助ける。たとえば、コメのように世界一弱い産業に対しては、何十兆円もの金を惜しげもなくつぎ込み続けている。養蚕も明治時代の保護法でいまだに守っている。