資料は1枚論点と結論を絞る

会議資料を作成するときも、なるべく紙1枚にイシュー(論点)と結論を書くように言っている。何らかの提案・推奨事項はあるのか、それともそれ自体を求めているのか。ディスカッション事項を明確にし、優先順位を付け、理由も添えておくことが大切だ。99年から昨年までジュネーブにある子会社に行っていたが、ここでも「社内会議にプレゼンは不要。本質的な議論に時間を充てるべき」と言って、会議のやり方を変えさせた。

時間の無駄を感じるのは会議ばかりではない。1日の日程も1つの件をせいぜい30分に収めるよう秘書に言い聞かせている。それでも余るくらいだ。電話も早い。ジュネーブ側のトップと電話で打ち合わせるときも五分で終わり。それ以上の長電話はしない。ただ、拠点事業所にはなるべく足を運び、現場の社員とのコミュニケーションに時間をかけている。

移動時間は歴史物や趣味の渓流釣りの本をよく読む。仕事の書類は絶対読まない。常に仕事のリスク管理を徹底するのは、経営者としては当然だ。

緊張感を癒してくれるのは、ジュネーブ時代から飼っている柴犬のタクだ。健康づくりを兼ねて週末は朝夕1時間ずつ散歩をしている。多摩川の河川敷などにも足を伸ばす。仕事のことは一切考えない。渓流釣りはなるべく未知の谷に行くようにしている。釣り好きの連中と合流してバーベキューを楽しんだりする。特に大自然の谷を歩いているときはリラックスできる。

残念ながら忙しくて釣りは年に1~2回のペースだが、愛犬を連れて海や山へドライブに行き、たっぷり遊ぶことが最高の気分転換になっている。

(斉藤栄一郎=構成 清水博孝=撮影)