デジタルカメラ市場が苦境に立たされている。大手各社は相次いで2012年度の年間販売計画を下方修正。金額ベースの市場成長率も9カ月連続で前年同月比マイナスが続いている。

最大の要因は、スマートフォンの普及によるコンパクトデジタルカメラの不振にある。カメラ付き携帯電話が普及し始めた03年ごろにも影響を心配する声が多かったが、カメラメーカー各社は手振れ補正や顔認識など、高機能化することで差別化し、危機を乗り越えた。だが、スマートフォンはこれらの差別要因の多くを取り込んでいる。さらに、FacebookやTwitterなどのSNSと連携を強化し、カメラにはない魅力も有する。各社とも対抗策を見いだせていないのが現状だ。

頼みの一眼レフカメラも厳しい。先進国はすでに成熟状態にあり、新興国でも需要が減衰している。追い打ちをかけたのが、尖閣諸島問題である。中国は、高級カメラが世界で最も売れると言われる最重要市場。ここでの不振が各社に大きなダメージを与えている。

カメラメーカーに活路はあるのか。カギを握るのがミラーレスカメラだ。パナソニックやソニーといった電機メーカーが市場を牽引していたが、11年秋にニコン、12年秋にはキヤノンが参入。一眼レフでつかみきれていない「綺麗な写真を撮りたいが、大きなカメラを持ち歩きたくない」層を狙う。現在、一眼レフカメラの世界での年間販売台数は約2000万台。当社では、今後数年でミラーレスカメラと合わせて3000万台規模に成長する可能性が十分にあると予想する。

ミラーレスカメラ市場には韓国サムスン電子も参入している。グローバル競争で液晶テレビのような末路をたどることを心配する声もあるが、私は日本企業が戦略を間違わなければ十分勝てると考えている。現在、ニコンとキヤノンの一眼レフ市場における世界シェアは85%。これは両社が圧倒的なブランド力を有していることを意味する。

日本勢が競争優位を保つには、ブランドを徹底して守ることに尽きる。方法は2つ。1つは安易な機能競争、価格競争に参加しないこと。もう1つは、安易なブランド供与、技術供与を避けること。民生電機“最後の砦”の踏ん張りに期待したい。