アジアをマーケットとして積極的に取り込んでいく

――頭取就任時に「真のグローバルバンクへ」という目標を明確に掲げられました。
三井住友銀行頭取 
國部 毅氏

「米国の『Fortune』誌が選ぶ上位500社という特集がありますが、かつて我々はFortune誌に掲載されるような企業にとって、“限定的な取引先”にしかすぎませんでした。しかし、今は違います。彼らからコアバンクとして認定されていて、米国だけでなく国際的にも他の邦銀より優位な立場にあると感じています。」

――バブル期に一時期、邦銀の国際的なプレゼンスが高まりましたが、現在との違いは何ですか。

「ご存じの通り日本の銀行はバブル経済崩壊後、不良債権処理に苦しんでいました。それが2004~05年頃にやっと一応の目処がつき、我々の資産は大変質のいいものに変わりました。今では流動性も非常に高く、我々の財務基盤は国際的に強い信頼を得てます。

こうした強固な財務基盤に支えられ、我々が進出している地域は、かつての欧米一辺倒から、アジア、中東、アフリカといったグローバルな地域に広がりをみせています」

――アジアへの戦略が鮮明です。

「頭取に就任してから約2年になりますが、海外出張の7割近くがアジア地域です。

日本とアジアは地理的、文化的にも非常に近く、その潜在的な成長力に魅力を感じます。アジア開発銀行の予測によれば、50年には世界のGDPのおよそ半分はアジアが占めるといいます。

アジア以外にも新興国は数多く存在しますが、この成長地域をマーケットとして積極的に取り込んでいくことが我々のメーン戦略となります」