もともと犬塚がハローデイで働くようになったきっかけは、自分が客として受けたサービスにあった。犬塚には障害を持つ子供がおり、最初は「子供が騒いで迷惑をかけるのでは」という心配から、早く買い物をすませて帰ろうと考えていた。ところが行くたびに店長やスタッフが、「ここでストレス発散していってね」と声をかけてくれ、いつの間にか店が心休まる場所になっていったのだ。そして子供が成長し手がかからなくなったのを機に犬塚はハローデイで働き始め、一部門を任されるようになった。いい波動に犬塚が引き寄せられ、さらにいい波動を増幅しているといえよう。

ハローデイの本部(同社はサービスセンターと呼ぶ)では朝礼で「笑いの練習」を行っている。司会者の号令で、みなが大声で笑い出すのである。

「隣の人はいい人だ、わっはっは。うれしいなあ、わっはっは……」

「笑いの朝礼」を始めた加治敬通社長は言う。「社内を明るくするのが目的です。社員が暗い顔をしているお店に来たいと思うお客様はいないから」。いい波動を起こすための取り組みをトップが率先して行っているのだ。

今回の3つのチームに共通しているのは、プライベートまで含めたお互いに理解を深めるコミュニケーションと、気楽に真面目で前向きな対話が組織のあちこちで行われていることであろう。それらが近年、効率化の名目で多くの企業でそぎ落とされてきていることを考えると、まずは組織に健全な笑顔を取り戻すことが業績向上の処方箋のように思える。

(文中敬称略)