3人で四谷の焼き鳥屋へ

むらい・じゅん
1955年、東京生まれ。79年、慶應義塾大学理工学部数理工学科卒。84年、同大学理工学研究科博士課程修了。工学博士 (慶應義塾大学,87年)。東京大学大型計算機センター助手、京工業大学総合情報処理センター助手を経て、90年より慶應義塾大学環境情報学部助教授。97年、同学部教授。09年、同学部長。(「プレジデント」2000年10月16日号より。撮影・岡倉禎志)

大前さんの話は簡潔で、面白い。なぜ面白いのか。それは、大前さんが「経営コンサルタント」という肩書の印象と異なり、ご自分でいろんなことをなさる方だからだと思います。初めてお会いしてから4年後の1998年、大前さんはビジネス・ブレークスルー(BBT)を始められたし、2005年にはBBT大学院大学を始めた。どちらのときも、大前さんとはずいぶんお話させて戴きましたし、いろんな人をご紹介戴いたりしました。ご紹介戴いたのは、当時は少なかったスタートアップの起業家の方たちです(大企業の人に引き合わせてもらったという記憶はまったくありません)。一方で、ベンチャー志向の学生や学生のときからのベンチャー起業家も多いSFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)のキャンパスに大前さんに来て戴いて、話をしてもらったりもしました。

1999年から私は「ビジネス・ブレークスルー・チャンネル」の中で、今日まで毎月「ITライブ」という番組を続けています。ここにIT関係の面白い人をゲストとして連れて来るのですが、それはスタートアップの社長だったりすることが多い。その予定を大前さんは事前に調べていて、面白い人だと「収録が終わったら呼んでくれ。一緒にメシ喰いに行こう」と言ってくれるんです。そうすると私を入れて四谷の呑屋や焼き鳥屋で3人で会うことになる。面白そうな人に大前さんが「唾を付けに」来るわけです。そうすると私も「この人に大前さんが目を付けた」「面白いなあ。こういうところに眼を付けるんだ」という眼で会うわけです。これが実に面白い。そのスタートアップの社長さんが考えているビジネスは、技術的にはすごいシンプルで、ある意味くだらなそうに見えたりもするのだけれど、目の付けどころは確かに面白い——というものが、大前さんにとってはすごく面白いんですね。「面白い!」と言う大前さんがいちばん面白いわけです(笑)。