2013年3月22日(金)

「ボスはお客さま」の尊重、尊敬、信頼を得る人 -P&Gジャパン元社長 桐山一憲氏

いる社員、崖っぷち社員

PRESIDENT 2011年3月21日号

伊田欣司=構成 水野真澄=撮影

グローバルリーダー究極の条件

P&Gジャパン元社長 
桐山一憲氏

私はカナダ、韓国、アメリカ、シンガポールと4回の海外駐在を経験していますが、グローバルに活躍する人材について考えた場合、求められる要件は究極的には3つに絞られます。それは「情熱」「考える力」「誠実さ」です。

仕事に情熱を注げない人は、グローバル社会ではまず通用しません。言語や価値観の異なる人々とは、情熱が伝わって初めて仕事が動きだすのです。考える力も同様で、どの国でもキラリと光る人材は、指示を十分に咀嚼し、自分のものにしてから効果的なアクションをとります。最後の誠実さは信頼関係のベースです。人が人を動かすことで成り立つビジネスは、信頼関係の基盤が何より重要です。

この3つはダイバーシティが進んだ環境では重要視され、特にリーダーには必須条件となります。さらに、変化に対応するだけでなく、「自分から変化を起こせるリーダーシップ」と、「多様な価値観を受け入れられる心の深さ」を持てれば、リーダーとして最強です。

日本で活躍できている人の多くは、これらの要件を備えればグローバルでも活躍できるはずです。日本人は世界の舞台に弱いと言われますが、私はそう思いません。個人の能力はもともと高いのです。

P&Gは170年以上前にアメリカで生まれ、1940年代にグローバル展開をスタートさせました。現在は80カ国に拠点があり、180カ国に製品を提供しています。社長就任時に私は「初の日本人社長」と日本のメディアから注目されましたが、当社のようなグローバル企業では、社長の国籍はほとんど問題にされません。性別、年齢、宗教なども同様です。そのようなダイバーシティは、当社では企業戦略の一部であり、積極的に多様化を進めて競争力を高めるという考え方があります。思えば、スキンケア商品や消臭剤などは、他社との合併も含め、多様性のなかで生まれた商品ばかりです。ダイバーシティがなければP&Gは紙と洗剤だけの会社でした。

そのような組織では「誠実さ」が最も重要であり、また最も難しい要件になります。例えば日本人のリーダーが、ある国の人にバイアスを持って接すると、相手の態度も同じようになり、仕事にスピードが出ません。相手の価値観を尊重するには、まず自分が誠実さと透明性を保ち、信頼を勝ちとることが重要なのです。

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