個性的すぎる人材が恐るべき能力を発揮

たとえば織田信長は乱世ではおおいに才覚を発揮しましたが、平和な時代に生まれていたら、ただの変わり者で一生を終えていたかもしれません。海外で伸びる人材も、これに似ています。国内事業では個性的すぎるきらいがあったけれど信念や信義はしっかり持っているような人材は、海外で上手に修羅場を経験させてやると、恐ろしいほどの能力を発揮することがあるのです。最初に適性を見極めたうえで、リスクも覚悟しながら、その人をとことん信じて任せてみる。

1994年に業績不振に陥り、1000人規模の余剰人員が出たときも、そのうちの一部は思い切って海外に出しました。結果として彼らが今、海外事業を支える強力なリーダーに育っています。

※すべて雑誌掲載当時

ダイキン工業会長兼CEO 井上礼之 
1935年、京都府生まれ。同志社高校、同志社大学経済学部卒業後、57年大阪金属工業(現ダイキン工業)入社。人事部長などを経て、79年同社取締役就任。常務、専務を経て94年代表取締役社長就任。2002年より現職。著書に『「基軸は人」を貫いて』(日本経済新聞出版社)。
(中島 恵=構成 澁谷高晴=撮影)
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