ビジネスマンに必要なユーモアとは何だろう。商談中に爆笑をしてもらう必要はないが、相手との距離を縮めたり、よい空気をつくりたい。心をくすぐる程よいスパイス加減とは。各界の先達たちの言葉からそのあり様を探った。
ジョン・レノン
(Getty Images=写真)

文化人、芸能人にとってのユーモアはビジネスマン、政治家とは違う意味でとらえたほうがいいだろう。

彼らは自分の存在感を言葉や行動で示す必要がある。優等生的な発言だけでは世の中の注目を集めることができない。アイロニーを含んだ冗談や、ブラックな笑いでも、芸術家の言葉ならば、大衆は許容する。刺激的なユーモアもまた芸術家の行為のひとつと認識しているから、人は「面白い」と受け止める。

映画監督、小津安二郎の言葉。

「近頃の撮影所は八百屋になったのか、車が大根を乗せて入ってくる」

続いて、藤山寛美の言葉。阿呆を演じる阿呆役者として人気を集め、松竹新喜劇のスターだった。だが遊びが大好きで、金遣いが荒く、多額の借金を抱えた。

「私は1億8000万円もの借金をこしらえ、破産宣告を受けて、人間失格の烙印を押された男です。世間ではそんな私を見て『阿呆役者かと思うたら、ほんまの阿呆やったんかいなあ』と言うでしょう」

毒持ちではジョン・レノンも負けていない。ビートルズ時代、ロイヤル・アルバート・ホールで英国王室が出席する御前演奏会があった。貴賓席にいた紳士淑女に向かって、次のようなあいさつをした。

「安い席の人は拍手をお願いします。高い席に座っている人は宝石をじゃらじゃら鳴らしてください」

労働者階級の英雄(Working Class Hero)を任ずるジョン・レノンらしい言葉である。