バブル時に売り上げがピークだったブランドが、顧客の年齢はアラサー、アラフォーと移っていくにもかかわらず、いまだに当時のまま「ヤングファッション」のフロアに出店している、といった矛盾が生じている百貨店もあるそうだ。

「今でこそ学習して、売り場のイメージやマーケットの分析結果をキチッと説明文でまとめて足を運びますが、当時はお互いの商慣習の違いもわからないまま手探りの状態でした」(竹原)

大丸心斎橋店では、09年から百貨店から遠のきつつある若者をターゲットに、「うふふガールズ」と銘打った婦人ヤングカジュアルのフロアをスタートさせた。

「営業ウーマン特集」など、ファッションに敏感な若い女性ターゲットを刺激し、成功。わずか3年足らずで、全国の大丸、松坂屋6店舗でも展開することになった。

同じような戦略をとるのは他の百貨店もいくらでもできるはず。なぜ「うふふガールズ」だけがここまでヒットしたのだろうか。

「私たちは、『今日はあそこのブランドで買い物したよ』ということじゃなくて、『うふふガールズに行って買い物したよ』と言ってもらうことを目標にしたのです。私たちの成功を見た同業他社が似たような形態のショップ運営をしましたが、まったくうまくいかなかったようです。ブランドのファンは、そのブランドがなくなったらもう来店してはもらえません。私たちはうふふガールズのファンを増やすことに知恵を絞っています」(竹原)

たとえ出店ブランドが替わっていっても、フロアそのもののファンになってもらうこと。あそこに行けばいつもオシャレな服を売っている、というイメージ。竹原が目指したのは「うふふガールズ自体のブランド化」だった。初年度から参加し続けている神戸コレクションも、ブランド単位ではなく、うふふガールズ名義での参加。これもブランド化戦略の一環だ。竹原は言う。

「うふふガールズの成功で、今までのお客様に、新しいお客様を加えることに成功しました。『誰々ちゃんが着ているかわいい服は、あのブランド』と認識されてしまうと『大丸』で出店してもらうメリットが減りかねません。だから『誰々ちゃんが着ているかわいい服は、うふふガールズで買える』と打ち出していく」