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「報・連・相」ツール

そこで高吉所長が大切にしているのが、成果を「○」か「×」のどちらかで見極めさせること。よく営業マンが口にする言葉に「五分五分」があるが、営業所内では禁句。「曖昧さを排除することで、契約の可能性の低い顧客への営業を打ち切り、効率の高い営業活動が実現できる。また、『×』をつけた理由を質すことで何が阻害要因なのかを考え、次回の有効なアプローチへつなげていく」と高吉所長はいう。

また、伊東主任たち5人の営業マンが毎日作成しているのが「報告シート1」「報告シート2」という何の変哲もないタイトルのレポートだ。この2つを含めてこれから紹介していくものすべてが高吉所長オリジナルの報・連・相ツールである。


鹿児島支店だけでなく、大和ハウス工業の全営業マンが毎日書き込んでいる、全社統一のシステム上の「日報」のサンプル。

「報告シート1」は、各営業マンが現在アプローチしている8つの案件について、初回訪問、賃貸条件の折衝といった進捗状況の報告書。作成途中で、重要な連絡や相談事を思い出させる狙いがある。また、「報告シート2」は1日外回りをする中で、「国道3号線の沿線には眼鏡のディスカウント店が少なく、出店を促したら面白い」など、気づいたことを8つレポートするものだ。

流通店舗事業が立ち上がって30年以上が経過し、人口、交通アクセス、周辺の競合店情報など膨大な調査データが同社には蓄積されている。しかし、それらを基にマーケティング理論を駆使して店舗開発を進めても、必ず成功するとは限らない。「人通りが多いのに、なぜか“立地美人”と呼ばれる閑古鳥の鳴く店舗が生まれることがある」と伊東主任は指摘する。