ネッツトヨタ南国相談役(10年秋まで会長)の横田英毅氏。

ではなぜ、最終的な結論が「ネッツ南国で買いたい」になってしまうのだろうか。

まず、他社販売店と目に見えて違うところは、店舗の内装だ。まるで一流ホテルのラウンジのような雰囲気をもっている。ディーラーにもかかわらず、ショールームに自動車の展示が1台もない。顧客はそこへ商談の予定などなくても、ぶらりとやってきては、250円で提供される朝ごはんを食べたり、コーヒーなどを飲んだり雑誌を読みながら寛いでいる。定休日はなく、他店よりも朝早くから夜遅くまで営業する。顧客の購入検討時に試乗できる時間は丸2日。試乗車の数も30車も用意するなどサービスは他を圧倒する。

来客数の平均は平日で100人以上。週末ともなると500人以上。年間でのべ10万人以上にも達する。

客の無知につけ込む営業

「お客様は口では『(価格を)とにかく安くしてほしい』と言いますが、実際に値段だけで決めている人は、経験上ほとんどいません。一般の販売店であれば営業マンを、当社のお客様であれば『ネッツ南国』を信頼して購入するのです」と、キャリア13年の営業スタッフ主任・坂本進二は言う。

2度目以降の来店ならば、自分の担当者ではない従業員からも「◯◯様、いらっしゃいませ」と名前付きで出迎えられる。これもロイヤルカスタマー気分を味わえるに違いない。

実はこれは、1度目の来店時に、従業員がクルマのナンバーの下4桁と車種をパソコン入力しておき、次回それを打ち込めば名前とともに来店履歴、趣味、家族構成、コーヒーの砂糖・ミルクの有無、子供の飲み物の好みなどの情報が瞬時に出てくるシステム。これを全従業員が活用し、情報共有している。内装もシステムも従業員からの提案だという。