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ヨーゼフ・シュンペーターを語る際に欠かせない経済学者が、2人いる。1人は、シュンペーターが強烈に批判したジョン・ケインズ。もう1人はケンブリッジ大学経済学教授のデニス・ロバートソンである。3人は、大恐慌時代をともに生きている。

数々のイノベーションで世界のGDPは増大してきた
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数々のイノベーションで世界のGDPは増大してきた

ケインズは「有効需要の理論」で「有効需要」の大切さを説いた。一国の経済規模や成長率は「需要」で決まる。需要が拡大すれば生産も増えて経済は拡大、成長する。言い換えれば、不況は需要不足によって起きるといえる。不況期には、積極的な財政政策によって景気を刺激し、落ち込んだ需要を補うべきだ。ケインズはそう考えた。

2008年末以来の同時不況では、世界の主要国も、新興国も、財政による景気対策を相次いで行っている。まさにケインズの処方箋通りのことをやっている。

ケインズの「有効需要の理論」の背景にはロバートソンが指摘した「需要の飽和」がある。ロバートソンは、シュンペーターやケインズなどの陰に隠れて目立たないが、当時、世界の経済学の中心地であったケンブリッジにおいて、経済学教授になった人だ。ロバートソンは、いわば経済学の法皇だ。

1930年4月、彼は、イギリス政府が当時の世界不況の背景を探るために設置したマクミラン委員会の公聴会に出席した。彼は、深刻な不況の原因は「需要の飽和」にあると述べている。

「需要の飽和」とは、「買いたいものがない」ことだ。テレビや冷蔵庫、洗濯機、エアコン、自動車などはすでに持っている。29年の大不況も買いたいものがなくなったことが原因で起きた。だが、それを解決することは容易でないとロバートソンはいう。ケインズの著書『雇用、利子および貨幣の一般理論』で、需要飽和について言及している部分は、ロバートソンの影響を受けたものだったに違いない。