こうした苦労は英語が得意だったはずの学生でもみな同じのようだ。しかし、得ることも多い。2010年に留学した学生のブログ「世界へ飛び出せ!~私たちの徒然留学記2010~」(http://turedureryugakuki.blog69.fc2.com/)では、留学から戻った学生がその心境を記事に書いている。

「新しい環境では『挑戦心』を常に持つこと、少しくらいしつこく生きること、何か変えるには痛みが伴うこと、見てくれている人がいること、(中略)日本人であるということ、英語を使うということ……(中略)留学から学びました」(※10年12月22日記事より)

中嶋学長は留学の効用について、「トイレをどちらが先に掃除するかでもめた、なんて話はよくあります。留学中には文化摩擦や失敗も経験するでしょう。でも、それが学生を成長させ、その結果が社会から評価されているのではないでしょうか」と話す。

英語だけではない。同大学では、「3カ国語主義」を謳っており、第2外国語の習得にも熱心だ。留学先に非英語圏を選んだ学生などは、英語より第2外国語のほうがうまく話せるほど上達して卒業していくという。

この国際教養大、1期生が卒業した08年頃から注目され、人気も上昇。11年の一般入試では、過去最高の2249人(前年1253人)が受験した。京大や阪大など、有力国立大学との併願も多い。

受験生だけでなく、企業も注目するようになった。だが、あまりにも注目されるあまり、あるメーカーの採用担当者は株にたとえて次のように話す。

「『国際教養』株は暴騰しすぎ。大企業が連日、説明会をやっている話を聞くと、うちのような中堅メーカーは相手にしてくれないだろうと思う。かといって、うちだって海外を見据えた事業を展開しなければならない。国内だって、外国人消費者が増えていく。どのみち、留学経験があって英語ができる学生は魅力。暴騰前の『国際教養』株、バリュー株とでもいうべき大学はどこかにないだろうか」