7割強が経営支援による効果を実感

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図1 地域金融機関の中小企業への経営支援の具体的取組状況

全国規模で展開する都市銀行の担当者が、地方で事業を営む一つ一つの中小企業の経営者との間に「顔の見える関係」を築くことは、きわめて困難である。

これに対して、都道府県規模ないしそれより狭い範囲で活動する地方銀行や信用金庫・信用組合の場合には、地元中小企業との間にそのような関係を構築することが可能である。メーンバンクシステムは、地方金融機関と地元中小企業との間でこそ機能する、端的に言えば、地方でこそ機能する、と言うことができる。

「顔の見える関係」にもとづく地方金融機関と中小企業との結びつきは、単なるカネの貸し借りを超えた広がりをみせている。

図1と図2は、いずれも12年版『中小企業白書』に掲載されたものであるが、これらの図から、地方金融機関の中小企業支援の実態を把握することができる。

図1は、地方金融機関による中小企業への経営支援の具体的取り組み状況を示したものである。図1によれば、地方銀行・第二地方銀行・信用金庫・信用組合のいずれもが、「事業戦略・経営戦略計画策定支援」や「財務診断等計数管理アドバイス」「不動産売買情報の提供」を積極的に行っている。また、地方銀行を中心に、「ビジネスマッチング等販路開拓支援」「M&A等事業承継支援」「人材教育支援」「海外展開支援」などにも取り組んでいる。

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図2 中小企業が経営支援を受けたことによる効果

一方図2は、中小企業が地方金融機関の経営支援を受けたことによる効果を表したものである。図2から、経営支援を受けた中小企業の7割強が「何らかの効果があった」と回答している効果の内容としては「財務内容の改善」と「事業の継続」が大きな意味をもつ、などの事実が判明する。

12年版の『中小企業白書』は、地方金融機関が中小企業の経営改善に重要な役割を果たしうることを伝えている。「顔の見える関係」を利用した「地方版メーンバンクシステム」は、中小企業金融の主役だと言えるのである。

(大橋昭一=図版作成)
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