売買契約に基づく瑕疵担保責任で賠償へ

図1:売買契約により、小売店にも説明と賠償の責任が発生!
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図1:売買契約により、小売店にも説明と賠償の責任が発生!

商品の産地や賞味期限を改ざんする事件が、近年頻発している。スーパーなどの小売店がメーカー(卸)から粗悪な商品を仕入れて販売した場合、小売店は消費者に対し売買契約に基づく瑕疵担保責任(民法570条)として賠償責任が発生するか、不完全履行(民法415条)を理由として代替品を引き渡す責任が発生する。また、商品の売り主として説明責任も発生する。

売買契約とは、売り主と買い主の間に発生する契約。スーパーで商品を購入した買い主は、レジを通過した時点で店と売買契約を交わしたことになる。

売買契約を交わした買い主は、商品に欠陥があった場合、売り主に対して瑕疵担保責任あるいは代替品との交換を請求できる。瑕疵担保責任とは、商品の品質や表示に嘘や欠陥などがあった際に、売り主が買い主に対して負う責任のこと。例えば、産地が偽装されているうなぎを売ったスーパーは、買い主に「金を返せ」と求められれば賠償する義務が生じる。万一、買い主が食中毒になれば、スーパーが通院・治療費を賠償しなければならないケースもある。

一方、小売店とメーカー(卸)との間にも同じように売買契約が成立するため、メーカーにも、小売店への説明責任や、瑕疵担保責任としての賠償責任が発生する。小売店は、消費者からのクレーム対応、電話代・お詫びのチラシ作成代など事務費用、さらには店のイメージダウンによる売り上げ低下といった費用などを、メーカーに対して損害賠償請求することができる。

図2:産地偽装豚肉事件では1億2000万円を顧客に返金!
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図2:産地偽装豚肉事件では1億2000万円を顧客に返金!

産地偽装などでトラブルが起きたとき、図2のケースのように、第一義的には最終消費者に商品を販売した小売店が、金銭賠償なども含めて対応しなければならない。ただし、2001年に発生した雪印食品の牛肉偽装事件などのように被害の規模が大きい場合は、メーカー側が直接、消費者に対応する窓口を設け、返品・金銭賠償などに応じることも多い。

牛肉ミンチの品質表示を偽ったミートホープや、事故米事件を起こした三笠フーズのように、偽装表示を行った経営者や責任者は、詐欺罪(刑法246条)や景品表示法違反、不正競争防止法違反などの刑事事件として逮捕されることもある。

このような場合、メーカーは倒産に追い込まれることが極めて多い。結果的に、小売店は、メーカーに損害賠償を請求しても賠償してもらえない事態に陥ってしまう。

09年10月の消費者庁開設を控え、メーカーに対する世間や行政の目は厳しくなっている。メーカー側も「消費者コンプライアンス」のもと、出荷時の自己チェックなどを強化する動きが活発だ。今後は小売店にも、販売する商品へのチェックや仕入れ先への監査機能を強化することが、ますます求められるようになるだろう。

※すべて雑誌掲載当時