男が我慢するしかないという発想は逆効果である

理詰めで責めない。こまめに声がけする。適切に褒める<br><strong>カネボウ化粧品 前社長執行役員 知識賢治</strong>●1985年、鐘紡入社。2004年、カネボウ化粧品取締役兼代表執行役社長に就任。
理詰めで責めない。こまめに声がけする。適切に褒める
カネボウ化粧品 前社長執行役員 知識賢治●1985年、鐘紡入社。2004年、カネボウ化粧品取締役兼代表執行役社長に就任。

当社の営業担当は、入社1年目から百貨店などで化粧品を販売するビューティーカウンセラー(BC)の女性数名とチームを組むが、彼女たちとの連携が仕事の成否を左右する。私自身、多くの失敗を繰り返しながら、働く女性とどう接するべきかを経験から体得してきた。

厚生労働省による、社員30人以上の約7000事業所の集計データでは、課長職以上の役職を持つ女性の割合は約3%。が、カネボウではすでに15.1%にも上っている。今後は、どの会社でも女性管理職が欧米並みに増えていくと思われるので、男性も意識を変えることが大切だ。

管理職が女性だから、ある程度の我慢は仕方がないといったネガティブな発想は持つべきではない。敏感な女性ほどそういう感情を察知し、良好な関係は築きにくくなるだろう。むしろ、優秀な女性を貴重な戦力として接することは当然という大前提が必要な時代なのだ。

まず、男だから女だからという先入観を捨てることだ。例えば、「女性だから職業意識が低い」などということはありえない。もしそう感じることがあれば直ちに改めるべきだ、それは与えられた仕事の内容や、周りの男性社員の態度にも問題があるのだ。

ただ、性差は存在する。例を挙げれば女性は男性に比べ、一般的に計数管理やシステム発想が苦手である一方、緻密さや忍耐力に長け、消費者の視線で物事を考えられるという特性がある。物事を理解していく回路は、大前提をもって話す演繹法より、複数事例から結論を導きだす帰納法に向いている女性が多いと思う。