母と子で語るザッカーバーグ

菅野英那さん(福島県立須賀川桐陽高校3年)。

菅野英那(かんの・えな)さんは福島県立須賀川桐陽高等学校3年生。春からは早稲田大学商学部の1年生となる。指定校推薦で合格した。菅野さんが籍を置く3年5組は理系クラス。だが、早大商学部に行くと決めた。文理選択は高校何年生のときだったのですか。

「2年になるときです。そのときは将来はITをやりたいっていうのが強くて、東北大の工学部とかを考えてて。要するにプログラミングをやりたいから理系に行くってかんじでした」

プログラミングがやりたい菅野英那は、いつごろできたのですか。

「コンピュータに初めて触れたのが、幼稚園か、小学校入ってすぐです。親が持ってたノートパソコンをいじって。小学校3年のとき Google に触れて、これはすごいなと思って」

Google の事業開始は1998(平成10)年、日本語版サービス開始は2000(平成12)年。菅野さんが小学校3年生になったのは2003(平成15)年。

「そこからもうずっとパソコンに触れてたかんじで。小学校を卒業するときには、タッチタイピングが余裕でできるぐらいになってました(笑)。先生にも『あなたは将来エンジニアになるのね』みたいに言われてて、自分でもそうなんだって思ってました」

しかし進学先は商学部。なぜですか。

「文系移籍に決めた理由は2つあります。まずひとつが、たとえばシリコンバレーにいる、ちっちゃいころからプログラミングやってるようなすごい方たちにはかなわないと、もうそのときには思っていて。だから自分はプログラミング1本だけじゃなくて、もうひとつ武器を身に付けたほうがいいなと思って。ビジネスについて知っておきたい、ビジネスを学ぼうと考えたことがひとつめの理由です。

2つめの理由が、起業することを考えたとき、ITに限らなくても、いろんなところで面白いことができるんだなって思い始めて。IT、プログラミング以外のいろんなことを見ておきたいと思ったんです。ただ、自分はいわゆる文系の人間になるつもりはなくて、大学に行ったらプログラミングサークルとかに入って理系の勉強もしたいなと思っています」

菅野さん、文系移籍は学校の先生に困られたのでは。

「かなり。とくにうちの学年は『国公立を受けろ』と言われていて。だけど早稲田しか自分は行きたくないって言って。先生が『そういうことを許可したのは英那君が初めてだよ』って言ってました」

そこまで早稲田が好きなのはなぜですか。

「『TOMODACHI~』でカリフォルニアに行ったときに、自分が魅力的だなと思ったのが、diversity (多様性)ということばで、そういうのが日本の大学でいちばんあるのが早稲田じゃないかなと思って。自分は将来、具体的に『何をやりたい』というのはまだなくて、いろんな人の刺激を受けたいなというのもあって」

菅野さんは祖母、母、妹との4人暮らし。お母さんの仕事は看護師だ。私立大学への進学は問題なかったのですか。

「最初は駄目だって言われました。でも早稲田のほうがぜったい自分の勉強したい環境だし、卒業してからいい仕事に就けると思うので、恩返しできると思うと言って説得した形ですね。あとは奨学金に頼って」

お母さんは、菅野さんが何屋になりたいのかというイメージを共有しているんですか。

「していると思います。自分の話し相手は基本的に母親がメインなので、なんでも思ってること話すんです。起業家の伝記を読んだときには『こういう人にぼくはなりたいんだ』とか、そういう話をけっこうしているので、あっちもだいたいわかってるかなと思いますね」

お母さんは、マーク・ザッカーバーグという人がFacebookをつくったことは認識している?

「わかりますね。かなり話してるので」

菅野さんはどんな人になりたいんですか。

「自分は幼稚園のころから、大人になったらデカイことをするんだとずっと思っていて。中学生ぐらいになったときに、そろそろ本気でやらなきゃいけないんじゃないかって思い始めて。自分はそのときITに興味があったので、ITの世界にどういうすごいひとがいるのかも興味があって、ビル・ゲイツとか、スティーブ・ジョブズとか、そのころ出てき始めたひとではマーク・ザッカーバーグとか。そういうひとたちは何をしたかというと、自分で会社を起こしたわけで。そのあたりから、自分の会社を起こしたいなということは思ってました」

いちばん菅野さんに影響を与えている起業家はだれですか、と訊く。その問いに答えたあと「孫さんのほうが、自分としては近いのかなと思うんですけど」と菅野さんはことばを添えている。

(明日に続く)

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